2025年11月13日
口切の茶事に寄せて ― 抹茶ケーキで味わう秋の趣
最近、ニュースで「抹茶が不足している」という話題を見かけるようになりました。
海外でも人気が高まり、品質のよい抹茶の需要が急増しているのだとか。
私たちにとって身近な抹茶ですが、その栽培や加工は大変手間のかかるものであり、あらためて“大切に味わいたい食材”なのだと感じさせられます。
そんなタイミングだからこそ、秋に行われる「口切の茶事」に心が向きます。
夏のあいだ茶壺で眠らせていた茶葉の封を切り、ようやく新しい抹茶をいただく――そんな季節の節目を祝う行事は、抹茶への感謝や季節の移ろいを静かに感じるひとときです。
抹茶を使ったスイーツを楽しむことも、どこかでこの精神につながっているように思います。
一服のようにほっと心がほどける味わいは、秋のおもてなしにぴったり。
ここから、その季節感を表現したおすすめの一品をご紹介します。
口切の茶事(くちきりのさじ)とは?

口切の茶事とは、秋に行われる茶の湯の伝統行事で、5月に摘まれた新茶の茶壺の封を切り、挽きたての抹茶で茶を楽しむものです。
一年の茶事の始まりとされ、大切な客人をもてなす場でもあります。
茶人にとっては、茶葉の新鮮な香りと味を堪能するだけでなく、季節の移ろいを祝い、心を通わせる大切なひとときです。
茶道具の扱いや席の所作にも気品があり、茶の湯の精神や日本人の季節感を象徴する行事として親しまれています。
抹茶の深い味わいと栄養価

抹茶の原料は、覆いをかけて育てた新芽を加工した「碾茶(てんちゃ)」です。
石臼で細かく挽いて粉末にすることで、茶葉を丸ごと味わえるのが大きな特徴です。
煎茶などの緑茶は茶葉をお湯に浸して抽出しますが、抹茶は茶葉そのものを飲むため、旨味・香り・栄養を余すことなく楽しめる点が緑茶との大きな違いです。
そんな抹茶は、栄養成分もとても豊富!代表的なものは…
テアニン
抹茶特有の旨味成分。リラックス効果があり、心を落ち着かせる働きがある。
カテキン
強い抗酸化作用を持ち、免疫サポートや脂肪代謝の促進が期待される。
カフェイン
集中力を高め、眠気を防ぐ。テアニンとの相乗効果で穏やかな覚醒作用に。
ビタミンC
皮膚や粘膜の健康維持をサポート。抗酸化作用も高い。
ビタミンA(βカロテン)
目や皮膚の健康に重要。抗酸化作用も期待できる。
食物繊維
お腹の調子を整え、満足感を得やすい。茶葉を丸ごと摂る抹茶ならでは。
抹茶のケーキ 柚子の香りを添えて

そんな栄養豊富な抹茶を使ったスイーツが、フォリクラッセケータリングの秋のシーズンメニューにラインナップ!
抹茶の深い旨味とほろ苦さを引き立てるため、甘さはあくまで上品に仕上げました。
ひと口含むと、ふんわりとしたスポンジがほどけ、濃厚な抹茶クリームが舌の上でなめらかに広がります。
その奥から、爽やかに立ちのぼる柚子の香りが余韻を添え、抹茶の豊かな風味を軽やかに引き立てます。
このケーキの魅力は、和の伝統素材である抹茶と柚子が、洋菓子の技法の中で絶妙に調和している点にあります。
抹茶スイーツで心に残る“秋のおもてなし”を

今回ご紹介した「抹茶のケーキ 柚子の香りを添えて」は、伝統の深みと軽やかなアクセントが調和した一品として、日本の季節感やおもてなしの心を感じていただけるスイーツです。
季節を感じる味わいを共有することは、集まる人同士の距離をそっと縮める小さなおもてなしでもあるように思います。
秋のひとときに、抹茶の香りとともに心ほどける時間を――そんな思いを込めた一品を、ぜひフォリクラッセケータリングの秋のシーズンメニューで味わってみてください。
秋のシーズンメニューのご提供は11月30日までとなります。12月からも、また旬の食材を用いたお料理をご提供してまいりますのでご期待ください。









