2015年9月3日
金魚から、納豆請負人まで!超活発だった江戸時代の「出前」産業
「ケータリング」はまだ言葉自体が日本に登場して、数十年の歴史しかありません。
しかし、日本の「出前」(デリバリー・宅配○○・仕出し)産業は
他国で類をみないほど発達しているようです。
現在、出前には、寿司・蕎麦・うどん・丼物・
ラーメン・中華料理・カレーライス・ピザ・洋食など
たくさんの種類の出前産業がありますね。
出前が発達したのは江戸時代。
蕎麦やうどんなどを天秤で運ぶ姿は、時代劇や浮世絵でおなじみですね。
しかし、さすがは当時世界的な大都市、江戸。
ありとあらゆるものがデリバリーされていたようです。
江戸時代にデリバリーされていたいろんなもの
ここでは「呼び売り」といって、
民家の前で商売を行うものも含めて紹介いたします。
鮮魚
冷蔵庫のない時代ですから、買い置きなんてできませんもの。
新鮮なものを新鮮なうちにお届けしていました。
シジミ売りという、シジミ専門家もいたそうです。
野菜(青菜売り)
当時の川柳にこんなものがあります。
青菜売りひっ切りらしい菊の花
ひっきり⇒副業ということなので
「青菜売りが、副業で菊の花を売ってるよ!」という川柳ですね。
当時は野菜が安かったので、菊の花を一緒に売っていたのでしょう。
商売熱心です。
(句の抜粋と解釈の参考は、江戸古川柳の世界 下山 弘 / 講談新書 より)
納豆
納豆を朝食に食べる習慣があったので
出来立ての納豆を天秤で売る「納豆請売人」がいました。
なっとううけおいにん
・・・なんだか秘密のお仕事みたいでカッコイイΣ(゚∀゚ノ)ノ納豆なのに!
金魚
「金魚売」は夏の季語です。風流ですね~。
夏の間のバイトとして、行われていた金魚売。
その人たちは冬の間は扇の地紙売りなど、別の仕事をしていたそうです。
水がたっぷりはいった桶を、天秤につるして歩きまくるのです。(重さ約30kg)
そりゃもう、そうとうな重労働だったようです。
鍋や釜の出張修理(鋳掛屋)
泥棒が真っ先に狙うとされていたほど高価な鋳鉄(ちゅうてつ)製の鍋や窯。
しかし、当時の製造技術では、使うとヒビが入りやすい。ましてや重い。
修理に来ていただくほかありません。
修理するために鋳鉄を溶かすのに、熱が必要ですから
「ふいご」という空気をバフバフおくる道具で、炎を強くして行っていたようです。
チリ紙回収(紙くず屋)
私事ですが、大学時代は落語研究会でして・・・
「井戸の茶碗」という有名な古典落語があるのですが、そこにも紙くず屋清兵衛がでてきます。
今のちり紙回収車と同じです。
江戸時代はリサイクル社会だったようで、
ほかにも鉄釘、蝋燭のたれたロウなど、
あらゆるものが回収されて再利用されていたようです。
日本でものすごく豊富なデリバリー業が存在するのは
伝統文化みんたいなものなのですね!